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20代のほとんどを、
摂食障害と過ごしました

20代のほとんどを摂食障害と過ごしました

※この記事は、わたし自身の体験の記録です。わたしの症状は、摂食障害の中でも「過食嘔吐」にあたるものでした。摂食障害にはさまざまなタイプがあり、症状も、感じ方も、回復の道のりも人それぞれです。治療法や対処法をおすすめするものではありません。
※今つらい状態にある方は、読むことでしんどくなる場合があります。無理をせず、そっと閉じてくださいね。記事の最後に、相談できる窓口を載せています。

前回の記事の最後で、少しだけ触れました。わたしが長年悩んでいた、摂食障害の話です。

ずっと誰にも言えなかったことだけれど、今のわたしなら書けるかもしれない。そう思って、綴ってみようと思います。

始まりは、高校生の頃

高校生の頃から、体型のことはいつも気にしていて、常にダイエットをしているような状態でした。

今思えば、当時はまったく太っていなかったのに。「○○ダイエット」のような、その時々で流行っていたものに飛びついては、無理な食事制限をしていました。

美容師になって、少しずつ崩れていった

学校を卒業してから、美容院で働き始めました。

慣れない環境。厳しい上下関係。長時間労働。不規則な食事。——気づけば、仕事が終わるとコンビニで甘いものを大量に買って、無意識に食べるようになっていました。

「太った」の一言と、鏡だらけの職場

そんな時期に、同じ職場の人から「太った」と指摘されました。

自分ではまったく気づいていなくて、そのとき初めて、太ったことを知ったんです。

美容院には、鏡がいっぱいあります。どこを向いても、そこに映る醜い自分。いつの間にか、美容院で働くこと自体が、つらくなり始めていました。

「食べること」が「太ること」になった

太りたくない。でも、食べるのをやめられない。

そのころから、お腹いっぱい食べては吐くことを繰り返すようになりました。そして、わたしの中で食べること=太ることになってしまったんです。

頭の中は、常に痩せることと食べることでいっぱい。自分より細い人に対する劣等感は、半端じゃありませんでした。

誰かと一緒に食べる食事は憂鬱で、「早く別れて一人になって、もっといっぱい食べたい」なんて考えて……。休日も過食嘔吐を繰り返して、まともな生活は送れていませんでした。

毎日、いつ死んでもいいと思うほど、食べることに依存していました。でも同時に、食べることでなんとか毎日を乗り切れてもいて……。もう、意志の問題ではないところまで来ていたんです。

誰にも、相談できなかった

実家に住んでいたときだけは、母親が気づいていました。でも、歩み寄ってくれる感じはなくて。「気持ち悪い」というようなことを言われて、ひどく傷ついて。もう一緒に住めないと思い、家を出ました。

一人暮らしを始めて、誰にも邪魔されない環境を手に入れてしまったこと。それが、長引いた原因のひとつだったかもしれません。

吐きだこや顔のむくみなど、見た目には過食嘔吐の特徴は出ていなかったので、周りは誰も気づいていなかったと思います。(ちなみに、夫も知りません。)わたしも、誰にも相談できませんでした。

なんとか一人で解決しようと思い、過食嘔吐できない環境に身を置いてみたり(旅館で住み込みのアルバイトをしたこともあります)、「これで本当に最後」と決めてみたり。それでも結局、自分ではどうすることもできなくて。「精神科に行くお金があるなら、食べ物を買いたい」と思ってしまうほど、正常に考えることができなくなっていました。

華の20代は、摂食障害とともに過ぎていった

結局、わたしの20代は、そのほとんどが摂食障害とともにありました。

交友関係も、旅行も。食に囚われていて、ほかの人に比べたら、本当に何も楽しむことができませんでした。

変わり始めたきっかけは、美容師を辞めたこと

少しずつ良くなってきたのは、美容師を辞めてからでした。

「見た目じゃない、体型じゃない」と分かっていても、職業柄どうしても外見を気にしないといけないこと。生活が不規則で、深夜の食事になってしまうこと。それが自分の中ではしんどくて、治すためには仕事を辞めざるを得ませんでした。

そこから、回数は少しずつ減っていきましたが、それでもゼロにはできなくて……。何かあったときや、情緒が不安定なときには、つい繰り返してしまっていました。

母になっても、やめられなかった

子どもを妊娠しても、出産してからも、回数は減っても、完全にはやめられなくて。

そのときの自己嫌悪は、本当にひどく、「なんてダメな母親なんだろう」「ごめんね、ごめんね」と、泣いていました。

気づいたら、しなくなっていた

でも、子育てをしていくうちに——そもそもそんな時間もないし、食事で体ができていることを、子どもを通して間近で感じるようになって。

本当に、いつの間にか食欲が落ち着いていて、気づけばしなくなっていました。

あんなにやめたいと悩んでいた時は、全然やめられなかったのに。

もう、たくさん食べたいと思わなくなっていたし、過食嘔吐が必要ではなくなっていました。やめようと頑張ったというより、気づけば過食嘔吐に頼らなくても過ごせる日が増えていったんです。

摂食障害は、意志の弱さではありません

弱いからでも、甘えているからでもありません。

どちらかといえば、責任感が強く、人に迷惑をかけたくない、周囲に合わせることが多い、感情を我慢しやすい——そんな真面目で頑張り屋さんが発症することが多いと言われています。

「意志が弱いから」「食べることを我慢できないから」なる病気ではありません。心の状態や脳の働き、ストレス、遺伝的な要因などが複雑に関係する病気です。

わたしも真っ只中のときは、「また繰り返してしまった」「なんでわたしはやめられないんだろう」と、毎日思っていました。克服した方のブログやYouTubeを何度も見ていましたが、その時はやめることができませんでした。

でも当時は、「これがなくなったら生きていけない」と思うほど、抱えていたものを食べることで救われていたのも事実です。それが、当時のわたしを守る手段になっていました。

焦らなくて、大丈夫です

もし今、「一生このままかもしれない」と思っている方が、このブログを読んでくださっているなら。焦らなくて大丈夫です。

今日できなかったことよりも、今日もここまで過ごしてきた自分を、少しだけ認めてあげてください。良い日もあれば、苦しい日もあります。「もう無理」と思う日があっても、それが回復できないという意味ではありません。

やめたいと思う日もあれば、「これがなくなったら生きていけない」と思う日もあるかもしれません。苦しさや不安、孤独、ストレス……。人によって理由は違うけれど、それは、そのときの自分を守るための方法になっていることがあります。

わたしの場合は、ストレスを感じていた仕事や人から離れられたことが、一番大きかったかもしれません。大好きだった美容師の仕事。でも、常にお客様に評価され、売上を気にして、スタッフは仲間だけどライバルで。そんな状況で、わたしの心は悲鳴をあげていました。もし、原因があってやめられない方がいるなら、その原因から離れることも、ひとつの方法かもしれません。

回復は、一直線ではありません

簡単ではないのを知っているから、きれいごとや精神論を並べるつもりはありません。それでも、10年以上過食嘔吐を繰り返していたわたしでも、少しずつ変わっていきました。

次の日から一切なくなった、というわけではありません。1日にする回数が減っていって、数日おきになって、1週間おきになって——本当に、徐々になくなっていった感じです。

回復は一直線ではありません。前に進んだと思ったら、また戻ってしまう日もあります。それでも、その繰り返しの中で、少しずつ変わっていく。

今つらいあなたにも、その可能性があることを忘れないでほしいです。今は苦しさでいっぱいでも、体型や体重の数字で、あなたの価値が決まることはありません

この記事が、少しでも心を軽くするきっかけになれたらうれしいです。

支えているご家族・パートナー・友人の方へ

最後に、摂食障害と向き合っている方を支えている、ご家族やパートナー、友人のみなさんへ。

大切な人が苦しんでいる姿を見るのは、とてもつらいことだと思います。「どう声をかけたらいいのか分からない」「何をしてあげるのが正解なんだろう」——そう悩みながら、そばにいてくださっている方も多いと思います。

摂食障害は、周りが励ましたり、叱ったりするだけで良くなるものではありません。だからこそ、焦らず、その人の気持ちに耳を傾けて、「あなたは一人じゃないよ」という安心感を伝え続けることが、大きな支えになることがあります。

そして、支える人自身も、一人で抱え込まないでください。支える側にも、休む時間や、相談できる場所が必要です。あなたが自分の心と体を大切にすることも、長く支え続けるためには、とても大切なことです。

すべてを理解することは難しくても、「味方でいるよ」という存在が、本人にとって大きな支えになります。

わたしが一番つらかったのは、過食嘔吐そのものだけではありませんでした。「なんでやめられないの?」「また食べたの?」——そんな言葉を聞くたびに、自分でも十分責めているのに、さらに苦しくなっていったんです。

だから、もしあなたの大切な人が摂食障害と向き合っているなら、どうか、結果だけを見ないでください。その人は毎日、見えない苦しさと闘っています。

責める言葉より、「今日もお疲れさま」「話したくなったら、聞くよ」。そんな一言が、救いになる日もあります。

ひとりで抱えている方へ

もし今、同じような苦しさの中にいる方がいたら。ひとりで抱えなくて大丈夫です。相談できる場所があります。

摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」
電話:047-710-8869(火〜金 9:00〜15:00/休日・年末年始・お盆を除く)
ご本人だけでなく、ご家族や周りの方の相談もできます。

※摂食障害支援拠点病院のある都道府県(宮城・栃木・東京・千葉・富山・石川・福井・静岡・福岡)にお住まいの方は、各地域の拠点病院でも相談できます。

詳しい情報は 摂食障害全国支援センター のサイトをご覧ください。お住まいの地域の精神保健福祉センターでも相談を受け付けています。

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